(モールス通信入門)

FCWA( 福島CW愛好会)
2015年6月2日更新

 このページはCW初心者向けの入門講座です。

CW通信(モールス通信)は現在、アマチュア無線の中で行われるだけになりました。
しかし、小さな電力で遠くまで飛ぶ、究極のロースピード・デジタル通信なのです。
モールス符号を覚えて、あなたもこのすばらしい通信の世界への扉を開いてください。

 CWとは  Continuous Wave(連続波) のことで、電波を符号によって断続させて交信を行います。符号にはモールス符号が用いられるのでモールス通信と言われています。
CWで交信するためには、3アマ以上の免許とCWが送信できる局免そして、CWが送受信できる無線設備が必要です。
 モールス符号を覚えよう  まず、CW通信で使われているモールス符号を覚えましょう。
欧文モールス符号

モールス符号の覚え方(FCWA会員の体験談
  モールス符号の覚え方には、音感法や合調語法などがありますが、速いスピードに対応するためには、音感法がおすすめです。詳しい方法と体験談は、こちら
  ある程度符号を覚えたら、パソコンやスマホで受信練習をくり返します。
  練習には、CW練習ソフトまたはアプリを使うのが良いでしょう。

  実際のCW交信をワッチし、ゆっくりとした速度の局を選び、受信練習をするのも良いでしょう。この際、書き取りながら受信すると交信のパターンが理解できます。

CW(モールス)練習ソフトの紹介
 電鍵(キー)の打ち方 パドルの操作方法
  現代のモールス通信では、パドル+エレキーでモールス符号を送信することが主流です。
  パドルには、シングルレバーとダブルレバーがありますが、ダブルレバーが一般的です。
  パドルは、右手、左手どちらで操作してもかまいませんが、左手で操作すれば、右手がフリーになり、筆記する時やリグを操作するときにキーから手を離さずにすみ便利です。
  短点(ト)と長点(ツー)を親指と人差し指のどちらに割り当てるかも自由です。
  親指を短点、人差し指を長点に割り当てている人が多いようです。
  割り当ては、パドルの配線を変えるか、無線機のリバース機能で変更できます。
  短点と長点の比は1:3で文字と文字の間は短点3個分、単語と単語の間隔は、短点7個分と決められています。
  これらを考慮して、リズム感の良い相手が聞きやすいモールス符号を送信するよう心がけましょう。
  また、電波を出さないで、送信練習をくり返しましょう。(聞き取りよりはずっと早く上達しますよ。)
  パドルの操作で難しいのは(慣れが必要なのは)、レバーを親指と人差し指で挟むような操作、スクイーズ操作です。
  スクイーズ操作については、ここ(GHDキーの資料PDF)をご覧ください。

縦振り電鍵の操作方法
  縦振り電鍵(ストレートキー)は、モールス通信が始まった時代から使われている単一接点の電鍵です。
  縦振り電鍵を正確に操作できるようになるためには、そうとうの鍛錬が必要です。
  最近の無線機には、ほとんど全てにエレキー機能が付いていますので、まずパドル+エレキーで交信ができるようになってから、縦振り電鍵に挑戦しても良いのではないでしょうか。
  
  縦振り電鍵には、圧下式(按下式)と反動式の2つの操作法があります。
  圧下式
    短点も長点もマーク時に手首が最下位置まで下がる方法です。
    初心者が低速度で正確にモールス符号を送出するのに適しています。
  反動式
    マークを打つ時、手首は最下位置まで下がりますが、次の瞬間その反動で手首は中位にもどります。
    特に長点を打つときは、最下位置から中位に戻りながらマークを送出します。
    次の打鍵の準備のためです。速度が上がるに従って、自然にこのような動きになります。
    なお、この動きを理解するためには、ここ(GHDのホームページ)をご覧ください。

どんなパドル・電鍵を選んだら良いか
  電鍵、パドルなどは、モールス符号を送出する大事な道具です。武士で言えば刀、料理人で言えば包丁に相当します。
  贅沢にならない程度に良いものを購入しましょう。(将棋の大山名人の言葉)
  詳しくは、こちら(編集中)
 CWの交信方法

  まずは、5NNBKから
モールス符号を覚えたら、実際の交信を聞いてみましょう。
   無線機(受信機)をCWモードに切り替えて、各バンドの下の方をワッチ(聴取)します。
   バンドプラン(JARLのページPDF)

   まず、一番交信しやすい7MHzでは、7.010MHz付近をワッチしてみましょう。
   JCCサービスの移動局など、多くの局が5NN BKのショートQSOをしています。

   −・−・ −−・−(CQ)が聞こえますね。

ゼロインする(相手局の送信周波数に自局の無線機の周波数を合わせること)
   ダイヤルを回し、受信音を600Hzから800Hzに調節します。(無線機のサイドトーンと同じ周波数、無線機によっては、ボタンひとつで、この操作を自動でやってくれます。)
   周波数がずれていると応答率が悪くなります。

CWの受信テクニック

相手局のコールサインを聞き取る。
   コールサインの文字を全部確認します。はじめは、1文字ずつ確認していきます。
   何度も聞いて、確認しましょう。

自分のコールサインを送る。
   CQを出している局が、スタンバイしたら
   DE (自局のコールサイン) K  または、自局のコールサインだけを送信します。
   例 CQ CQ DE JA7ZBF JA7ZBF JCC0701 PSE K
     に対して
      DE JH7UBC K   または JH7UBC  と送信します。

レポートを送る。
   相手局が、レポートを送ってきます。JH7UBC UR 5NN BK (Nは9の短縮形)
   これに対して (UR) 5NN BK と送信します。(5NN(599)以外のレポートを送ってもかまいません。)
   これで、交信成立です。簡単でしょ。

カンニングQSOのすすめ

5NN BKの交信に慣れたら、次にラバースタンプQSOに進みます。
 ラバースタンプQSO  ラバースタンプ(ゴム印)のように定番の交信方法です。 
ラバースタンプQSOの例

CW略符号(CW交信の中で使われる略符号です。)と

Q符号(略符号) (本来、問い合わせのための略符号ですが、アマチュア無線では、様々な情報の略符号として使われています。)
  をうまく使って、効率的な交信を行います。
CQを出す ラバースタンプQSOができるようになったら、勇気を出して、自分からCQを出してみましょう。 

まず、自分がCQを出したい周波数をワッチします。しばらくワッチして、だれも交信していないようでしたら、確認のために「QRL ?」を送信します。
  意味は「そちらは送信中ですか?」で、フォーンでは「どなたかこの周波数を使っていますか?」いわゆる「周波数チェック」に相当します。

何も応答がなければ、CQを出しましょう。(もし、だれかが周波数を使っていれば、「QRL」と応答があるはずです。)
  例
   CQ CQ CQ(3回以内) DE JH7UBC JH7UBC JH7UBC(3回以内) (PSE) K
   または、自局のQTH(住所)を入れて
   CQ CQ DE JH7UBC JH7UBC JCC0708 PSE K
   DX局に対しては、
   CQ DX DE JH7UBC JH7UBC K
   応答がなければ、CQを繰り返し送信します。

応答があったら、ショートQSOで局数を稼ぎたいときは、5NN BKの方法で、どんどん交信していきます。
  普通の交信の場合は、ラバースタンプQSOで、交信を楽しみます。

こちらが、CQを出したときに、相手局がちょうど聞いていて、応答したときに交信ができるわけですから、根気よく、何度もCQを出しましょう。
  CQを出すときのCWの速度は、自分の技量にあった速度にします。速ければ、相手はこの局はその速度で応答しても大丈夫だと思うからです。
  ですから、最初はゆっくりとした速度(QRS)でCQを出すことをすすめます。
  JクラスタやDXクラスタに自局のコールサインが掲載されたら、パイルアップになることもあります。パイルを受けるのも気分が良いものですよ。Hi
 DX交信を楽しみましょう  CWなら海外の局とも簡単に交信することができます。
  CW通信は基本的に英文を使用し、略符号、Q符号とも万国共通です。また、CWは、ノイズにも強く、小さな出力で遠くの局と交信することができるのです。
海外の局と交信する方法は国内と同じで、上記の5NN BKやショート・ラバースタンプQSOで行います。
  ただし、海外の局との交信では、OP(オペレータ)、QTHの順に送信します。
  当然、ラグチューしてもかまわないのですが、コンディションの変化が早かったり、多くの局との交信を望むことが多いので、ショートQSOが多くなります。
交信する度にカントリーが増えていくのは大きな楽しみです。
  DXCCというARRLが発行するアワードなどは、多くのアマチュア無線家の目標となっています。
コンテストに参加してみよう  CWが少し上達したら、コンテストに参加してみませんか。
  5NN BK交信やラバースタンプQSOとはまた違った緊張感があり、CW交信の充実感を味わうことができます。
 最近のCWコンテストでは、パソコンを使うのが一般的になっています。
  パドルや電鍵をまったく使わないで、キーボードだけでコンテストに参加することができます。
  CTESTWINなどのフリーのロギングソフトもあり、様々なコンテストの得点を自動的に集計してくれます。
  電子ログも生成でき、ログ提出が非常に楽で、コンテストに苦労なしに参加することができます。
FCWAでは、毎年12月の第1土曜日にFCWA CW QSOパーティを開催しています。ぜひご参加ください。
和文モールス通信に挑戦    欧文で交信が出来るようになり、ある程度交信回数が増えてくると2回目、3回目の交信が増えてきます。ラバースタンプQSOでは、交信に行き詰まりを感じるようになります。
  そんな時、和文ができたら話題が広がります。ぜひ和文にもチャレンジしてみてください。
  和文モールス符号
参考資料 モールス通信 CQ出版社
CQ ham radio 毎年1月号付録 HAM NOTE BOOK
CQ ham radio 2007年11月号 「モールス通信の楽しみ方と運用テクニック」
CQ ham radio 2010年9月号 「小さな出力で世界と交信できる モールス通信を楽しもう」
CQ ham radio 2011年9月号 「CWを運用しよう」
CQ ham radio 2012年9月号 「アマチュアがCWを担う時代に モールス通信の魅力」
CQ ham radio 2014年5月号別冊付録「みんなのCW運用スタイル」